学校法人大多和学園 開星中学校・高等学校

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小山内校長日記

校長日記732「スマホ新法施行 ― 子どもたちを取り巻く『見えにくい危険』」

12月とは思えない穏やかな青空のもと、開星生は今日も元気に登校しています。

しかしその一方で、子どもたちを取り巻くスマートフォンの環境は、本日12月18日を境に大きな転換点を迎えました。
本日より、「スマホ新法(スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律)」が全面施行されました。この法律は、スマートフォン市場における競争促進を目的としたものであり、本校で使用しているGIGA端末は対象外となっています。
一見すると、「より便利になる」「選択肢が増える」といった前向きな印象を受ける法律ですが、未成年にとっては新たなリスクを伴う側面も持っています。

今回の法施行によって、特に注意すべき主な変化は次の3点です。
① 公式以外のアプリストアが利用可能になる
② 公式ストアを経由しない課金が可能になる
③ フィルタリングが十分に機能しないブラウザが使用可能になる

これまで保護者の皆様が頼りにしてきた「公式ストアの審査」「ペアレンタルコントロール」「ブラウザの制限」などが、十分に機能しにくくなる可能性が指摘されています。
最大の懸念は、「子どもは必ず抜け道を探す」という現実です。
大人は「正しく使えば問題ない」と考えがちですが、子どもたちは「制限をかいくぐる」「ネットで裏ワザを探す」「友人から方法を聞く」といった行動を、驚くほどの速さと柔軟さで行います。
「制限しているはずなのに、いつの間にか解除されていた」
こうした事例は、決して特別な家庭だけの話ではありません。

想定される最悪のシナリオとしては、
① SNSで知った違法アプリを安易にインストールし、個人情報が流出する
② 外部決済を利用し、知らない間に高額課金が発生する
③ フィルタリングの効かない環境で、違法・有害サイトに接触する
といったことが挙げられます。これらは、「その気になれば、誰にでも起こり得る」問題です。

スマホ新法は、すでに施行されています。
だからこそ今、私たちに求められているのは、
「制限すること」ではなく「理解させること」、
「管理すること」ではなく「約束すること」ではないでしょうか。
なぜ危険なのかを、具体的に伝える。
そのうえで、家庭と学校が共通のルールを持つ。
それこそが、子どもたちを守るための、最も現実的で確かな方法だと考えています。