小山内校長日記 new
校長日記680「ヘレン・ケラーが教えてくれたこと」
昨日は、社会福祉探究の一環として特別講義(演劇鑑賞)を行いました。
本校では10月の全学年探究活動を「社会福祉探究」と位置づけ、視覚と聴覚に障がいをもつ「盲ろう」について1か月間学習を進めてきました。そのまとめとして、東京演劇集団「風」を特別講師にお迎えし、バリアフリー演劇『ヘレン・ケラー ― 奇跡の人』を鑑賞しました。
盲ろう者が直面する大きな課題の一つに「コミュニケーションの壁」があります。演劇を通して、生徒たちは言葉を交わすことの尊さや、思いを伝えようとする努力の意味を深く感じ取っていたようです。見終えた後の静かな拍手や表情に、心に残る何かを得た様子がうかがえました。
生後19か月で病により視覚と聴覚を失ったヘレン・ケラー。彼女の人生を変えたのは、家庭教師アン・サリヴァンとの出会いでした。井戸の水が手に流れる感触とともに、初めて「w-a-t-e-r」という言葉を理解した瞬間、ケラーは「魂が目覚めた」と記しています。
その後、彼女はハーバード大学ラドクリフ・カレッジを卒業し、世界に向けて障がい者の権利や平和を訴える活動を続けました。「奇跡の人」と呼ばれたのは、ケラー本人だけでなく、あきらめずに寄り添い続けたサリヴァン先生の姿にもあります。
誰かの可能性を信じ、共に学び、支え合うことの尊さを、あらためて感じた一日でした。

